カンボジアの学校はどうなってるの?教育制度と1日の流れ

カンボジアを訪れると、制服を着た子どもたちが笑顔で通学する姿によく出会います。

しかし、その背景には独自の教育制度や歴史的な課題、そしてカンボジアならではの学校生活があります。

この記事では、カンボジアの教育制度の仕組み、学校での1日の過ごし方、そして現在直面している課題について詳しくご紹介します。

目次

カンボジアの教育制度の概要

カンボジアの教育制度は、基本的に次のような段階で構成されています。

  1. 初等教育(Primary School):6年間(6歳〜12歳)
  2. 中等教育(Secondary School):3年間(12歳〜15歳)
  3. 高等教育(Hight School):3年間(15歳〜18歳)
  4. 大学・専門学校:4年間・2年間(18歳〜)

日本と同じ、6−3−3−4年制となっており、年度の開始は11月始まりです。

義務教育は小学校6年間と中学校3年間の計9年間ですが、実際には家庭の事情で中途退学する子どもたちも少なくありません。

農村部ほど修了率は少ない傾向があり、2023年時点の中学校修了率は56%となっています。

参考:ユニセフ世界子供白書

教育制度の特徴

二部制の授業

午前の部と午後の部に分かれ、一部の生徒は午前、一部は午後のみ通学します。
カンボジアでは生徒の数に対して学校と教室の数が不足しており、効率よく施設を利用するための工夫です。

週6日制

カンボジアの学校では月曜〜土曜までの週6日制です。
会社や公務員も週6日制で、日曜日のみ休日となるのが基本です。

授業料と教科書は無料

2019年から政府が教科書を無償化したため、経済的な理由で通学が困難だった家庭も通いやすくなりました。

学校指定の制服はない

学校に通う子どもたちは皆、白のシャツと紺のズボン・スカートを身につけていますが、学校指定のものではなく自己負担で各々が購入します。よく見ると少しずつデザインが異なっています。

カンボジアの学校生活 〜1日の流れ〜

カンボジアの学校は小学校から大学まですべて二部制が基本で、多くの生徒は午前または午後どちらかの部に通学します。

【午前の部】

  • 6:30〜7:00:登校・朝礼
  • 7:00〜11:00:授業(4コマ)
  • 11:00:下校

【午後の部】

  • 12:30〜13:00:登校・始業準備
  • 13:00〜17:00:授業(4コマ)
  • 17:00:下校

午前の部は7時からスタートするため、生徒も先生も朝早くから起きて学校へ通います。

昼間の過ごし方と放課後の生活

午前部の生徒は下校後、自宅で家事を手伝ったり、市場で家族の仕事を手伝うことが多いです。
農村部では田畑の手伝いや弟妹の世話をすることもあります。

一方、午後部の生徒は、午前中に家事や仕事を終えてから登校します。

学習塾や補習に通う子どもは都市部に多く、進学を目指す生徒たちは夜間の補習にも励んでいます。
逆に、経済的に厳しい家庭では放課後は仕事に出ることが一般的です。

授業科目

  • 国語(クメール語)
  • 算数・数学
  • 理科
  • 社会・歴史
  • 英語(近年では英語教育が強化されています)
  • コンピュータ基礎(都市部では導入が進む)

体育や音楽、美術などの芸術教育はまだ十分に整っていないため、カンボジアの教育プログラムにありません。

そのため、私たちCambodia+では、幼児や小中高生を対象に絵画や音楽など芸術教育活動を行っています。

カンボジア教育の現状と課題

カンボジアの教育は、ポル・ポト政権時代の内戦による大きな打撃からようやく回復の道を歩んでいますが、今も多くの課題を抱えています。

主な課題

  • 教師の不足と質の課題
     地方では十分な教員数が確保できず、専門的な教育を受けた教師が少ないのが現状です。
  • 教室・教材の不足
     農村部では1教室に50人以上が詰め込まれることも。
  • 進学率の低さ
     高校卒業まで進学する生徒は都市部でも限られ、地方ではさらに低い水準にあります。
  • ジェンダー格差
     女子生徒の進学率は男子に比べて低く、早期結婚や家事労働のために中途退学するケースが目立ちます。

国際支援と地域の取り組み

こうした課題に対し、国際NGOや日本を含む多くの国からの支援が行われています。

  • 学校建設プロジェクト
  • 無償給食プログラム
  • 教師養成プログラム
  • 奨学金制度の拡充

また、地域コミュニティによる自主的な教育支援活動も活発化しています。
親が協力して学校の環境を整えたり、先生の給与を補助したりする事例も増えています。

まとめ

カンボジアの学校生活は、日本とは大きく異なる部分が多いものの、そこには家族や地域と共に歩む温かな文化があります。

貧困や教育環境の課題はあるものの、多くの子どもたちが未来に希望を持って学んでいる姿はとても印象的です。

もしカンボジアを訪れる機会があれば、ぜひ現地の学校を訪ねてみてください。
活き活きとした子どもたちの笑顔と力強い学びの姿に、きっと心を動かされることでしょう。

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この記事を書いた人

Cambodia+(カンボジアプラス) は、「教育格差の解消」と「環境保護」を軸に、カンボジアの教育機関・行政と共に活動を行う国際協力NGOです。カンボジアの人々の暮らしや文化、日々の最新Newsを発信。伝統、食、教育、自然など、リアルな今をお届けします。

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