日本では春夏秋冬と四季がはっきりと分かれていますが、カンボジアではどのように季節が移り変わっていくのでしょうか?
カンボジアは東南アジア特有の熱帯モンスーン気候に属し、「乾季」と「雨季」の二つの季節が一年を大きく彩ります。
この記事では、カンボジアの季節感覚と、それぞれの季節に合わせた暮らしの知恵、行事、食文化について詳しくご紹介します。
カンボジアの季節区分

カンボジアの一年は大きく分けて「乾季(11月〜4月)」と「雨季(5月〜10月)」の二つに分かれます。それぞれの季節は気温、湿度、降水量が大きく異なり、人々の生活スタイルもそれに合わせて変化します。
日差しは年中強く、アンコール遺跡群のような広大な敷地を移動する旅行では、日傘や長袖などで日焼け対策をしたほうがよいでしょう。
乾季(11月〜4月)
乾季はさらに「涼しい乾季(11月〜2月)」と「暑い乾季(3月〜4月)」の時期に分けられます。
- 涼しい乾季(11月〜2月):
朝晩は比較的涼しく、旅行や観光に最適な時期。気温は20〜30度前後で湿度も低く快適です。 - 暑い乾季(3月〜4月):
3月を過ぎると気温が一気に上昇し、4月には40度近くになることも。水分補給と日陰での休憩が欠かせません。
雨季(5月〜10月)
モンスーンの影響で、ほぼ毎日のようにスコールが降ります。
気温は高め(30〜35度)ですが、雨があがると気温が下がり涼しく過ごしやすくなります。
日本の梅雨のように一日中降り続けることもなく、ザッと降ってパッと晴れることが多いので、雨季でも十分観光は楽しめます。
カンボジアの暮らしの知恵

カンボジアの人々は、熱帯の気候に合わせた生活の知恵を長い歴史の中で培ってきました。
- 伝統的な木造高床式住宅:
暑い日中でも風通しを良くし、家の下のスペースを日陰で過ごす場所として活用します。 - クロマーの活用:
伝統的な万能布である「クロマー(Krama)」を頭に巻いたり、首に巻いて日除けにしたりと重宝します。
季節ごとの行事と伝統文化
カンボジアでは、季節の変わり目ごとに重要な行事や祭りが行われます。
それぞれの季節に合わせた文化的なイベントをご紹介します。
【乾季の主な行事】
- カンボジアの正月(ソンクラーン)/4月中旬:
一年で最も重要な行事。家族が集まり、仏教寺院で徳を積み、水かけ祭りで暑さを吹き飛ばします。 - 水祭り(ボン・オム・トゥック)/11月:
雨季の終わりを祝う水祭りで、プノンペンのトンレサップ川では盛大なボートレースが行われます。
【雨季の主な行事】
- お盆(プチュン・ベン)/9月〜10月:
先祖供養の時期。家族が寺院に集まり、供物を捧げて先祖の魂を慰めます。
季節ごとの食文化
気候の変化に合わせて、食卓に並ぶ料理や食材も変わります。
【乾季の食文化】
- 旬のフルーツ:
乾季はマンゴーの最盛期。ジューシーで甘いマンゴーはデザートにも料理にも使われ、街中の市場でも多く見かけます。また、スイカやパパイヤも人気のフルーツです。 - 保存食文化:
干し魚や干し肉を作るのは乾季の恒例行事。長期保存できるため、雨季に備えた食糧となります。
【雨季の食文化】
- 豊富な南国フルーツ:
雨季はドリアン、マンゴスチン、ランブータン、リュウガン(ロンガン)など多彩な南国フルーツが旬を迎えます。 - 発酵食品の活用:
代表的なのが「プラホック」と呼ばれる発酵魚ペースト。雨季の保存食として重要な役割を果たします。
YouTubeチャンネル”Ari’s Kitchen“ではカンボジア伝統料理の作り方を紹介し、食を通じて、文化の魅力を伝えています。
本場のエスニック料理づくりにトライしてみてください!
カンボジア人の「四季感覚」

カンボジアでは日本のような四季はありませんが、人々は乾季と雨季を通じて季節の変化を敏感に感じ取っています。
例えば、涼しい乾季が訪れると「年の終わり」の雰囲気が漂い、暑い乾季は「正月前の賑わい」、雨季が始まると「恵みの季節」として自然の変化を喜びます。
こうした自然との共生感覚は、現代の都市生活の中でも失われることなく、人々の心に深く根付いています。
まとめ
カンボジアの人々は、乾季と雨季の中で、自然と調和した豊かな生活を送っています。
それぞれの季節に合わせた暮らしの工夫、行事、食文化は、自然のリズムに寄り添う生き方そのものです。
もしカンボジアを訪れる機会があれば、ぜひ現地の人々の季節に寄り添った生活にも触れてみてください。
シンプルで力強い暮らしの知恵に、きっと新しい気づきを得られることでしょう。